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この記事を読むべき人
- 外国人の同僚・部下:「です・ます」は覚えたのに、同じ「ありがとう」でもCEOと同期で言い方が違うと知って混乱している
- 日本人の人事・マネージャー:外国人メンバーが「了解しました」を社外メールで使ってヒヤッとした経験がある
- 日本語を勉強中のビジネスパーソン:教科書の敬語は知っているが、どの場面でどのレベルを使うかの判断軸が欲しい
教科書は文法を教えてくれますが、「上司から夜8時にSlackが来たときに何と返すか」は教えてくれません。
この記事では、ネイティブが無意識にやっている丁寧度の使い分けを、A/B/Cの3段階フレームワークに整理します。迷ったら「B」を選んでおけば、8割の場面で失礼にならない、というレベルまで体系化します。
敬語の3分類:まず最低限の地図だけ覚える
教科書的には敬語は3種類あります。ここは暗記ではなく、「違う機能を持つ3つの敬語スイッチがある」と理解するだけで大丈夫です。
| 分類 | 機能 | 例 |
|---|---|---|
| 尊敬語(そんけいご) | 相手の動作を持ち上げる | 言う → おっしゃる |
| 謙譲語(けんじょうご) | 自分の動作を低める | 言う → 申す |
| 丁寧語(ていねいご) | 文末を整える | 言う → 言います |
ポイントは1つだけ:
- 主語が「相手」なら尊敬語(例: 部長がおっしゃった)
- 主語が「自分」なら謙譲語(例: 私が申しました)
- どちらでもなく文末だけ整えたいなら丁寧語(例: 今日は雨です)
この区別さえ押さえれば、あとはA/B/Cのレベル選びに集中できます。
A/B/C politeness framework
Real-World Japaneseでは、同じ意図を3つの丁寧度で言い換える練習を軸にしています。
| レベル | 丁寧度 | 使う相手 | 雰囲気 |
|---|---|---|---|
| A | カジュアル | 同期・仲の良い後輩・家族 | フランク、タメ口寄り |
| B | ニュートラル・ポライト | 上司・他部署・初対面の社内 | 敬語だが過度に改まらない |
| C | フォーマル | 顧客・役員・謝罪・公式文書 | 最大限の敬意、硬い |
迷ったらB。 Bを基準に、相手との距離感でAかCに振る、というのがネイティブの感覚にいちばん近い運用です。
逆に、外国人がいちばんやらかすのは「Cで統一してしまう」パターンです。同期に対しても「〜でございます」を使うと、距離を取ろうとしているように聞こえて気持ち悪いからです。
内と外(uchi-soto):A/B/Cを選ぶときの隠れた軸
A/B/Cの選び方には、丁寧度の段階だけでなく、「相手が自分の内(うち)か、外(そと)か」 という軸も効いてきます。
- 内(うち): 自分と同じ会社・部署、家族、親しい仲間
- 外(そと): 他社、顧客、初対面の相手、目上の知り合い
日本語の面白いところは、「同じ人物でも、場面によって内にも外にもなる」 こと。たとえば自分の上司は、社内で話すときは「外」(目上 = Cに寄せる)ですが、社外の顧客に上司の話をするときは「内」(身内扱い = 謙譲語で下げる)になります。
この感覚は場面別パターンを読み進めるうちに自然と掴めます。まずは 「内にはB、外にはC」 をざっくりの原則として頭に入れておけば大丈夫です。
動詞変換クイックリファレンス(A/B/C対応)
よく使う動詞をA/B/Cの丁寧度で並べました。C列は尊敬語(相手の動作)/ 謙譲語(自分の動作) の順で併記しています。
| 原形 | A カジュアル | B ニュートラル | C 尊敬語(相手) | C 謙譲語(自分) |
|---|---|---|---|---|
| 言う | 言う | 言います | おっしゃる | 申す / 申し上げる |
| 見る | 見る | 見ます | ご覧になる | 拝見する |
| 食べる | 食べる | 食べます | 召し上がる | いただく |
| 飲む | 飲む | 飲みます | 召し上がる | いただく |
| 行く | 行く | 行きます | いらっしゃる | 参る / 伺う |
| 来る | 来る | 来ます | いらっしゃる / お越しになる | 参る |
| する | する | します | なさる | いたす |
| いる | いる | います | いらっしゃる | おる |
| 聞く | 聞く | 聞きます | お聞きになる | 伺う / 拝聴する |
| 知っている | 知ってる | 知っています | ご存じです | 存じております |
使い分けの基本: 相手の動作には 尊敬語、自分の動作には 謙譲語。同じ「C」でも主語が誰かで列を切り替えます。迷ったら「主語は誰?」を先に確認するのがコツです。
場面別10パターン:A/B/Cで使い分ける
ここからが実戦です。日本の職場で1日に1回は遭遇する10場面について、A/B/Cの3パターンを提示します。
1. 出社・入室時のあいさつ
| レベル | 日本語 | ローマ字 |
|---|---|---|
| A | おはよー | ohayō |
| B | おはようございます | ohayō gozaimasu |
| C | おはようございます(+軽いお辞儀) | ohayō gozaimasu |
ポイント:朝のあいさつは「Aを使える相手」が極端に狭い。社内でも基本Bから始めるのが安全です。
2. お礼を言う
| レベル | 日本語 | ローマ字 |
|---|---|---|
| A | ありがとう / サンキュ | arigatō / sankyu |
| B | ありがとうございます | arigatō gozaimasu |
| C | ご丁寧にありがとうございます | go-teinei ni arigatō gozaimasu |
ポイント:メールの返信ではCを使うと「相手が丁寧にしてくれたことへのお礼」が表現できます。ただし毎回使うと重たいので、節目で使うのがコツ。
3. 軽い謝罪(遅刻・誤字など)
| レベル | 日本語 | ローマ字 |
|---|---|---|
| A | ごめん / ごめんね | gomen / gomen-ne |
| B | すみません | sumimasen |
| C | 申し訳ございません | mōshiwake gozaimasen |
ポイント:「すみません」は謝罪・お礼・呼びかけの3機能を持つ万能ワード。ただし本当に相手に迷惑をかけた場面では弱いので、Cに切り替える判断が重要です。
4. 依頼する
| レベル | 日本語 | ローマ字 |
|---|---|---|
| A | これお願い | kore onegai |
| B | これお願いできますか? | kore onegai dekimasu ka? |
| C | お手数ですが、こちらご対応いただけますでしょうか | otesū desu ga, kochira go-taiō itadakemasu deshō ka |
ポイント:Cの「お手数ですが」は相手に負担をかけることを認める前置き。これを入れるだけで印象が劇的に変わります。社外メールではほぼ必須。
5. 断る・辞退する
| レベル | 日本語 | ローマ字 |
|---|---|---|
| A | ごめん、今日は無理 | gomen, kyō wa muri |
| B | すみません、今日は難しいです | sumimasen, kyō wa muzukashii desu |
| C | 恐れ入りますが、本日は都合がつかず…… | osore irimasu ga, honjitsu wa tsugō ga tsukazu… |
ポイント:日本語では「NO」を直接言わないのがデフォルト。「難しい」「都合がつかない」が実質的な「NO」です。末尾を「……」で濁すのがCの定番テクニック。
6. 了解の返事
| レベル | 日本語 | ローマ字 |
|---|---|---|
| A | りょうかい / OK | ryōkai / OK |
| B | わかりました | wakarimashita |
| C | 承知いたしました / かしこまりました | shōchi itashimashita / kashikomarimashita |
ポイント:⚠️ 「了解しました」は社内Bまでが無難。社外や目上には「承知いたしました」が安全です。これは外国人が最もやらかしやすいミスNo.1。
7. 質問する(不明点がある)
| レベル | 日本語 | ローマ字 |
|---|---|---|
| A | ここどういうこと? | koko dō iu koto? |
| B | ここの意味、確認させてください | koko no imi, kakunin sasete kudasai |
| C | 恐れ入ります、こちらの点について確認させていただけますでしょうか | osore irimasu, kochira no ten ni tsuite kakunin sasete itadakemasu deshō ka |
ポイント:「〜させてください」は許可を取る形で依頼するニュアンス。Bレベルで汎用的に使える便利な型。
8. 席を外す・中座する
| レベル | 日本語 | ローマ字 |
|---|---|---|
| A | ちょっと抜けるね | chotto nukeru ne |
| B | 少し席を外します | sukoshi seki wo hazushimasu |
| C | 少々席を外させていただきます | shōshō seki wo hazusasete itadakimasu |
ポイント:ミーティング中にトイレへ行くならBで十分。社外の商談中ならC。
9. 電話を切る・会議を終える
| レベル | 日本語 | ローマ字 |
|---|---|---|
| A | じゃあ、またね | jā, mata ne |
| B | それでは、失礼します | soredewa, shitsurei shimasu |
| C | お忙しいところありがとうございました。失礼いたします | o-isogashii tokoro arigatō gozaimashita. shitsurei itashimasu |
ポイント:「失礼します / 失礼いたします」は電話・退出時の定型句。これを言わずに切ると非常に不自然に聞こえます。
10. メールの冒頭
| レベル | 日本語 | ローマ字 |
|---|---|---|
| A | (親しい同僚宛のチャット)お疲れ〜 | otsukare〜 |
| B | お疲れ様です。〇〇です。 | otsukaresama desu. 〇〇 desu. |
| C | いつも大変お世話になっております。〇〇社の〇〇でございます。 | itsumo taihen osewa ni natte orimasu. 〇〇-sha no 〇〇 de gozaimasu. |
ポイント:社内メール = B、社外メール = C が鉄板。社内でCを使うと慇懃無礼に聞こえます。
外国人がよくハマる4つの落とし穴
落とし穴1:「了解しました」を社外に使う
「了解」は上から下に対する確認の意味合いが含まれる、と感じるネイティブが多いです。社外メールでは「承知いたしました」「かしこまりました」が安全。
落とし穴2:「ご苦労さまです」を上司に使う
「ご苦労さま」は 上 → 下専用。上司や先輩には「お疲れ様です」を使います。
落とし穴3:「〜させていただく」の多用
便利ですが、本来は相手の許可が必要な行為にだけ使うのが正しい用法です。「確認させていただきます」は問題ありません。「お送りさせていただきます」は過剰敬語として近年批判されています。シンプルに「お送りします」でよい場面が多いです。
落とし穴4:Slack / Teamsで丁寧度を下げすぎる
チャットツールは「軽い会話」のイメージが強く、社内SlackでB相当を使いがちです。ただし 相手が他部署の部長や社外のパートナーの場合、Bだとややカジュアルすぎて距離感を誤る ことがあります。
Slackでも判断軸は メディア(Slack・メール・対面)ではなく「相手」。相手が「社外」「初対面の目上」ならCを崩さないのが安全です。特に文末の「了解です」「確認しておきます」は、目上宛なら「承知いたしました」「確認いたします」に切り替えましょう。
原則: 丁寧度はチャンネルではなく 相手 で決める。SlackだからB、という思い込みを一度捨てるのがコツです。
まとめ:明日から使える3つのルール
- 迷ったらB。同期にCは逆に距離を作る。上司にAは論外。
- 了解しました → 承知いたしました(社外・目上)
- 「お手数ですが」「恐れ入りますが」「失礼します」は黄金の3枕詞。Cレベルはこれらの前置きでほぼ作れる。
よくある質問
尊敬語と謙譲語の違いは?
尊敬語は相手の動作を持ち上げる敬語、謙譲語は自分の動作をへりくだる敬語です。たとえば「社長が話す」は尊敬語で「社長がおっしゃる」、「私が話す」は謙譲語で「私が申し上げる」となります。主語が相手か自分かを先に決めれば、どちらを使うか迷いません。
同僚相手ならB、ではCはいつ使う?
Cは「社外・目上・謝罪・公式文書」の4シーンが基本です。社内の同僚や他部署とのやりとりはBで十分で、Cを同僚に使うと逆に距離を感じさせて仕事が進みにくくなります。役職が上の人でも、日常会話はB、謝罪や重要な依頼のときだけCに切り替える、という運用で実務はほぼカバーできます。
「了解しました」はなぜ社外でNGなのか?
「了解」には上から下への確認というニュアンスが含まれる、と感じる日本人が一定数います。社内の同僚相手なら問題ありませんが、社外のクライアント・取引先・目上の相手には「承知いたしました」または「かしこまりました」が安全です。迷ったらこの置き換えを習慣化しましょう。
「お」と「ご」の使い分けは?
基本ルールは和語(訓読み)には「お」、漢語(音読み)には「ご」です。たとえば「お名前」「お時間」「お手紙」は和語、「ご連絡」「ご確認」「ご案内」は漢語。例外はありますが(「お電話」など)、迷ったらこの原則で9割は正解します。固有の敬語表現になっているもの(「お茶」「お礼」など)はそのまま覚えるのが早いです。
若い日本人も敬語を使いますか?
はい。世代に関係なく、職場ではほぼ全員が敬語を使います。友人同士はカジュアルですが、クライアントが電話口に出た瞬間や上司が入ってきた瞬間に全員が自動的に切り替えます。敬語は「古い文化」ではなく、今も現役の社会的プロトコルです。
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